重粒子の旅

漫画家の中川いさみ氏が、非常に珍しい「鼻のガン」にかかり、闘病生活を送っていた頃のことを描いたエッセイ作品です。鼻の中のガンという極めて珍しい症例にスポットが当てられており、同じような病気に悩む方にとっては極めて貴重な情報になります。もちろん、患者本人だけではなく、その家族や友人の方など関係者にとっても非常に有用で、また、知識として読んでおくだけでも、後々にも役立つことが期待できます。

とは言え、堅苦しい闘病ものの漫画というわけではなく、かなり「日常」に重点を置かれた描写も魅力的です。西日本で治療を受けたということで、海遊館に遊びに行ったりと、実に良い息抜きの描写が入っており、闘病マンガとしてのメリハリはもちろん、ご当地マンガとしての面白さも満喫できますね。また、最新の重粒子を使った治療ということもあり、従来とは違う病中病後の経過など、将来にも希望が持てる展開になっているのも良いところですね。おすすめ⇒日に焼けるまで 漫画


魔法使いの嫁についての感想

羽鳥チセとエリアスの、チセを魔法使いでありエリアスのお嫁さんにするための物語です。二人の周りで起こる様々なこと、魔法使いになるために魔法の勉強をするチセを通して人間について勉強していくエリアスの二人の成長の様子を見ることが出来る漫画です。とても面白くて連載当初から今までずっと読んでいます。

チセやエリアス以外にも妖精やドラゴンなどの魅力的なキャラクターがすごく多くて魔法使いの嫁の世界観にいつも引き込まれて読んでいる間は夢中になってしまいます。私が好きなのはルツというチセの使い魔になった黒妖犬のお話が少し悲しいけどとても好きです。他にもリャナンシーのお話も引き込まれるものがあります、切なくて少しだけ甘酸っぱい恋のお話です。

今は学園編を連載していますがこの話もとても面白く、続きが気になって仕方ありません。漫画は好きでよく読むのですがここまで好きで何度も読み返している作品はあまりないのでとてもお勧めの漫画です。おすすめ⇒日に焼けるまで~田舎の従姉弟と姉と弟~


しっぽの声

これはいわゆる「動物マンガ」です。猫好きな私はこうした動物マンガにどうしても目が行ってしまうのですが、「しっぽの声」はただの動物マンガではありませんでした。
この漫画は、ペットに関わる社会問題を扱ったものだったのです。なので、かわいくておもしろいという話だけではなく、絵も劇画的で動物たちがかわいらしく描かれているわけでもありません。それでも私には、初めて知るようなペットを取り巻く実態に毎回目が離せないマンガとなりました。

流行のためだけに、とにかく大量に子猫を作ろうとするパピーミルや、小さな個体を作るために異常な食生活をさせるなど動物好きにとっては、震えるほど怒りがわく内容が毎回綴られていきます。今は、島にいる希少動物のために野良猫を駆逐するという話が続いていますが、この希少動物を狙う猫を島に持ち込んだのは人間なのです。それは初め、害獣対策として持ち込まれました。それなのに、今度は希少動物を狙うからと猫を退治しようなんて、人間はなんて自分勝手なのかと腹を立たせながら読んでいます。

こうした話は世界的にあることだとも聞きます。なので、動物で一番いらない生き物は人間なんだと思っている今日この頃です。おすすめ⇒日に焼けるまで 漫画


思春期ルネサンス!ダビデ君

週刊少年ジャンプ連載のギャグマンガ。ミケランジェロのダビデ像の形をしたダビデ君が、学園生活を送るという内容。他にも、親友の「小便小僧君」、クラスのアイドルでダビデ君が惚れている「ヴィーナスさん(ボッティチェリ風)、サブヒロインの「モナリザさん」と、有名美術を題材にとったキャラクターが多数出てくる。連話のオチや扉得に、実在の絵画彫刻をモデルに上記キャラクターを配して遊ぶ「美術パロディ」的なネタが特徴的。

読み切りで一定の評価を受けて連載にこぎ着けた作品。「ピューと吹くジャガー」や「磯部磯兵衛物語」など、怪作を送り続けたジャンプの巻末枠をとることに成功したが、ジャンプのギャグマンガは連載が続かないことも多い。正直、ギャグに飢えるジャンプ編集部が、消去法的に連載させた作品で、程なく「ジャンプシステム(アンケート下位を容赦なく切る)」の元、
またしても早々に最終回を迎えるのでは予想していた。

ところがこの「ダビデ君」には捨てがたい魅力があった。それは、「女の子キャラが可愛い」
ということだ。美術をモチーフにできる作家なのだから、画力には自身があったのだろう。また、主人公が「石像」なので、普通に肉感のあるキャラクターは余計生き生きと見えるのかも知れない。どうやら、ここで編集部なり黒木本人なりは生き残りの道を確信したのだろう。
徐々に、但し明らかに、ヴィーナスさんやモナリザさん、ダビデの妹のレダちゃんといった美少女達の出番が増え、他にもちょっとだけエッチなシーンや、シチュエーションに従った様々な服を着せる(ギャグマンガのキャラクターは着た切り雀が多い)など、「ギャグ」から「コメディ多めの萌えラブコメ」にシフトしている。読んでいる方としても、マニアックで、でもきっとマニアにはしょっぱい絵画ネタで落とされるよりも、「ああ、きょうもヴィーナスさんエロ可愛かったなあ」で終わった方が(巻末だけに)スッキリする。

良い意味で「化けた作品」なのだ。願わくば、このキャラ萌えにしがみつきすぎず、読み手を飽きさせない工夫と変化をこれからも続けて欲しい。おすすめ⇒日に焼けるまで~田舎の従姉弟と姉と弟~


覆面系ノイズ

覆面系ノイズは高校生のバンドの話です。主人公のニノは小さい頃となりの家に住んでいたモモといつも一緒でした。一緒に歌うことが大好きで、夜二人でお互いの窓をあけて歌を歌っていました。しかしある日モモは突然いなくなってしまいます。その悲しみからニノは毎日学校帰りに海で叫ぶように歌うようになります。そこでユズと出会います。ユズは叫ぶように歌うニノに自分の作った歌をうたわせます。ニノはユズの歌をうたっているときだけ呼吸できている気がして、それから毎日海でユズと会うようになります。

しかしある日、ニノは学校で「モモは夜逃げしたらしい」という噂をきき、帰りの海で叫ぶようにユズに泣きつきます。そのとき一度もニノの前で歌おうとしなかったユズは慰めるようにニノに歌ってみせます。驚いてニノは叫ぶのをやめ、ユズと一緒に歌います。次の日もユズとユズの歌をうたいたかったニノは一目散に海に向かいますが、ユズはそこにはいませんでした。砂浜にはユズが作曲した歌の続きの譜面が・・・。

そして数年後、ニノは高校に入学します。隣の席にはなんとユズがいました。留年してもう一度一年生をすることになったというユズは、軽音部に所属していました。誘われたニノは、またユズの作った歌がうたいたかったので、軽音部に入部することを即決します。そして新入生歓迎会での部活紹介で、ニノは早速バンドメンバーとともに体育館の舞台に立つことになります。曲は、覆面バンドとして活動している、”イノハリ”の「ノイズ」。ユズと舞台に立てることに喜びを感じ、ニノは全力で歌いますが、曲の途中、「ニノ」と呼ぶ声が聞こえました。あの日、突然いなくなったモモの声でした。ニノは体育館を飛び出し、モモを探しますが周りには誰もいません。

モヤモヤしたまま数日がすぎ、ユズと軽音楽部の仲間と毎日練習をしていました、しかしある日、屋上で歌の練習をしていたら、反対校舎の屋上にはモモの姿が。会いたくて、大好きなモモが現れ歓喜するニノですが、対するモモの反応はあまりにも想像と違っていました。

ニノとモモとユズの切なすぎる三角関係と、軽音楽部メンバーの本当の姿、高校生バンドとしての活動、ニノの成長、等々、すべてが本当に魅力的な作品です。音楽の描写もとてもかっこよく、リアルに描かれていて、学園ものではあるのですが単純な恋愛ばかりではないので、次の展開が全く読めず、続きが気になって仕方ありません。ニノが周りに支えられて少しずつ成長していく姿にもとても心を打たれます。おすすめ⇒ガリガリ娘を拾ったら


ほのかに香る百合の花

集英社のWEBコミックサイトである「となりのヤングジャンプ」にて、隔月で連載されている「明日ちゃんのセーラー服」は、主人公の明日小路さんがかつて母親も通った名門の女子中学校に入学し、そこで出会った学友たちとのありふれば日常が描かれている漫画です。

最新号までずっと読んできましたが、今のところ女子校特有の「ドロドロ」した人間関係の描写などもなく、明日小路さんと独特のキャラをもった学友たちとの学園生活は、ほのぼのとした日々でありながら、どこか百合の香りがする作品です。ですが、男性の自分が見ても変ないやらしさは感じません。

正直にいって、作画の中には登場人物たちが中学生という設定の割には、ややエロティックなものもありますが、成人コミックのようなストレートなエロスでもありません。もし自分が主人公でそこにいたならば、こんな毎日を送れたのかもしれない・・・と思うと、少し切なく、やや甘酸っぱいような気持ちになることもあります。>>>>>ガリガリ娘拾ったら


上野さんは不器用

科学部の部長で天才科学者でもある上野さんは、実は同じ部の田中君が好きで、というラブコメ作品ですが、田中君を好きすぎて色々と常軌を逸したアプローチを重ねてくる上野さんと、時々無機物ではないかと思えてくるほどに鈍感な、すなわち「ラブコメ体質」な田中君のやりとりが実に面白くてハマります。

「甘酸っぱい」と形容するのは語弊がありそうなキツいやり取りが頻発する中でも、意外と上野さんの発明品が実用的で、現実にあったら欲しいなと思わせるようなものばかりで構成されている点や、典型的な無口系キャラと思いきや、実はかなり強気なところもある山下さんなど、サブキャラクターが魅力的なのもいいですね。

また、上野さんが一途で、田中君が恋にはまったく無関心なため、他のラブコメ作品にありがちな「揺れ」がなく、ある意味では安心して見ていられるのも、じっくりと作品を読み込む上ではプラスです。エッチと言うより下ネタが豊富ですが、そのギャップも含めて楽しい作品と言えるでしょう。おすすめ⇒みすずの部屋


君に届け

地味で根暗な女の子が高校に入ってリア充になっていくという物語です。主人公の黒沼爽子は誤解されがちな見た目に反して性格はピュアで心優しい仏のような子です。純粋ゆえに集まってくる人、毛嫌いする人等も出てきます。同じクラスになったイケメンの風早くんは彼女の本質を見抜き事あるごとに気にかけ、一方爽子も彼の好意に対して次第に惹かれていきます。彼女の本質を理解するクラスメートも出てきて、いつしか腹を割って話せる親友になります。一方でそんな彼女を面白くないという者も出てきます。くるみというキャラクターです。くるみは爽子とは対象的な性格で計算高いし、嫉妬深い。美人の割にコンプレックス持ちというキャラです。昔から風早に思いを寄せていていい雰囲気になってきた爽子と風早の中を引き裂こうとしますが、周囲の尽力もあり計画は阻止されます。そんなくるみとも爽子は友達になります。爽子はくるみに対しても優しいのです。それから時間を経てから、とあるエピソードで爽子とくるみの二人きりで爽子の家でお泊まり会という回があります。布団をふたつ並べて爽子とくるみが腹を割って話すシーンは今思い出しても心が締め付けられます。くるみの後悔の懺悔ともいうべき謝罪というシチュエーションなんですが、かなり泣けます。本当にいいシーンです。この作品は爽子と風早くんの恋がメインなのですが、前半で恋仲になって決着しちゃったため、どちらかというと私はやのちんとピンへの恋の行方とか、ちづと龍の幼馴染の恋というサイドストーリーのほうが好きでした。映画にもなった話題作ですが、完結済みのためもう一度読み直そうかと思っています。


ヒストリエはいつまでも続きを待ちたい名作

「ヒストリエ」は岩明均さんによるアレクサンダー大王の書記官エウメネスを主人公にした歴史漫画です。岩明均さんは「寄生獣」で名をあげた方で私もその漫画で知りました。この漫画の特徴は歴史漫画にありがちな歴史的有名人を中心に単純化されたりした不自然な人物像ではなく、みな活き活きとした、それぞれの人生を歩んでいる人間として描かれているところだと思います。

主人公や仲間、敵たちはそれぞれみな悩みを葛藤を抱きながらも生活を築いているのですが、その想いをストレートに出さずこちらに想像させるところが作者の腕でしょうか。もちろんここぞと言う時には怒ったり涙流したりするのですが、それが本当にここぞという時なので強く印象に残ります。あとエウメネスがギリシャ世界の中の異分子であるヒッタイトという民族に設定されているため、グローバル社会の移民という現代にも通じるテーマになっているところも面白いです。

しかしよく言われているのはコミックスが発売されるのが遅くてコミックス派にとってはいつも待ち遠しくてなりません。そしてアレクサンダー大王と言えば東方への大遠征なのですが、それが描かれるところまで一体何年、何十年かかるのかと思うと気が遠くなるのですがずっと続きが出るのを待ち続けるつもりです。


リアル野球漫画であるバトルスタディーズ

数多くのスポーツ漫画がありますが、リアリティーがあるスポーツ漫画は少ないです。しかし、バトルスタディーズは違います。何せ、作者が大阪の名門野球部出身。しかも甲子園で試合出場した経験もあります。そのため、経験に基づいてストーリーを作ってます。強豪校の実情が分かっておもしろいです。あくまでフィクションであり、誇張しているところもあります。しかし、実際にあったとこを描いている。単行本でOBのプロ野球選手と対談してるのですが、そこまで描いていいの?と言われるほど。

普通の高校で過ごした私には、理解できない話もたくさんありました。関西の高校が舞台だからか、登場人物は関西弁ばかり。ちょっとしたギャグもおもしろいです。あまりメディアでは語られない内情を知ることができます。現実で野球部の暴行問題なとがありましたが、そういう話題にも触れています。とにかくリアルに近い野球漫画。野球好きの、そうでない人も楽しめる漫画です。